売ろうと決めたのは、新しい車の納期が確定した電話を受けた翌日のことでした。頭ではわかっていたのに、いざ「じゃあプリウスの買取業者を探さないと」と考えた瞬間、妙にしんみりした気持ちになりました。八年、走行距離にして九万キロ超。我ながらよく乗ったと思います。

査定を申し込んだのは三社です。同じ車でも業者によって金額が変わると聞いていたので、面倒でも複数に当たったほうがいいと友人に言われていました。実際、三社の提示額には数万円の開きがありました。そこまで差が出るものかと少し驚きましたが、話を聞くと状態の見方や、海外輸出需要の有無なども査定に影響するらしく、なるほどと思いました。

査定員の方が来て車を見ていくとき、なんとなく落ち着かない気持ちになりました。傷やへこみを確認されるたびに、「ああ、これは子どもを乗せて焦ってこすったやつだ」とか「ここは雪道でやらかしたときのだ」とか、記憶がぽろぽろ出てくるんです。査定員にとってはただの中古車でも、こちらにとっては走ってきた時間そのものだから、評価される感覚が少し不思議でした。

最終的に一番高い額を提示してくれた業者にお願いしました。予想より少し高かったので、その点は素直に助かりました。プリウスは中古市場での需要が安定していると言われていて、年式や走行距離のわりに値がつきやすいとのことでした。

引き渡しの日、駐車場で最後にシートに座ってみました。誰かに見られたら恥ずかしいくらい、名残惜しかった。次の車も大切に乗ろうと、そのとき素直に思いました。