父が亡くなってから、しばらくの間は実家の台所に入ることができませんでした。冷蔵庫の横には、父が長年使っていたエプロンが掛かったままになっており、調味料の置き場所も生前と変わっていません。母が先に亡くなってからは、父が簡単な料理を作るようになり、休日には私たち家族のために煮物やうどんを用意してくれていました。
ある日、実家の片付けを進めようと台所の引き出しを開けると、輪ゴムでまとめられた古いノートが出てきました。中には、父が書き留めた料理のレシピが並んでいました。分量は「しょうゆ少し」「味を見ながら」といった簡単なものばかりで、料理が苦手だった私には少し分かりにくい内容です。それでも、ところどころに家族の名前や「孫がよく食べた」といったメモがあり、思わず手を止めてしまいました。
思い出の品を残すか処分するかを決めるだけでも、想像以上に時間がかかりました。台所用品は数が多く、使えるものと古くなったものを分ける作業も簡単ではありません。さらに、家の中には布団や衣類、古い家電なども残っており、自分たちだけで全てを整理するのは難しいと感じ始めました。
親戚に相談したところ、無理に一日で終わらせようとせず、専門業者への依頼も選択肢に入れたらいいと言われました。そこで、香川で遺品整理の事ならリアライフ香川へという情報を手がかりに、家族で相談先を検討することにしました。何を残すかを先に整理しておけば、作業をお願いする際にも希望を伝えやすいと思ったからです。
最終的に、父の料理ノートは私が持ち帰ることにしました。今でもノートを開くと、父の少し丸みを帯びた文字が目に入ります。レシピを再現してみたものの、味はなかなか同じになりません。それでも、料理を作るたびに父のことを思い出せるのは、あのとき片付けを始めたからこそだと思っています。遺品整理は物を減らすだけではなく、これからも残したいものを選び直す時間でもあるのだと感じました。